修験道とは
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修験道について
修験道は神仏混交の我が国固有の宗教で、飛鳥・白鳳時代に実在した役行者(えんのぎょうじゃ、634-701年説が有力)が開祖といわれています。文化的には山伏として知られる山岳修行者の宗教として認識されていますが、その本質は神霊信仰です。つまり、神仏霊の持つ人知を超えた法力に頼ることにより、現世の人間の心身の苦脱を図ることと、行人・行者の解脱(げだつ)をその目的としています。
明法道場においても、護法大摩利支天(ごほうだいまりしてん)尊様を主神とし、役行者尊神変大菩薩(えんのぎょうじゃそんじんべんだいぼさつ)様、紫雲院明法(しうんいんみょうほう)大徳様をはじめ、大日大聖不動明王(だいにちだいしょうふどうみょうおう)様、金剛蔵王大権現(こんごうざおうだいごんげん)様、大国主命(おおくにぬしのみこと)様、諏訪大明神(すわだいみょうじん)様、地蔵菩薩(ぢぞうぼさつ)様、薬師如来(やくしにょらい)様、釈迦如来(しゃかにょらい)様、弘法大師(こうぼうだいし)様など、修験道に縁の深い数多くの神仏をお祀りして信仰しています。
修験道の開祖とされる役行者について
役行者については、後の正史にわずかな記述がありますが、大半の資料は修験道が発展したはるかな後代に作成されたものが多く、必ずしも事実と伝説の区別が判然とはしていません。我が国の歴史上、伝説の人物の一人です。ただ、宮坂よしみが、降霊した役行者尊様の神霊から直接伝えられたところによりますと、「三十年間というもの、山へ入って行をした。苦しむ人々が救われた時に見せる笑顔を心の楽しみに、苦しい行をも続けることが出来たぞ」ということです。
修験道はその後の長期間にわたって我が国の民衆信仰として発展し続けましたが、それはこの宗教の根底に、現世利益(げんぜりやく)と神霊信仰という我が国固有の庶民信仰があったからだと思われます。修験道研究で有名な五来重氏は、「木葉衣・鈴懸衣・踏雲録事」(行智、五来重編注、平凡社刊)の解説文の中で、次のように述べています。
・・・この宗教は日本固有の庶民信仰を本質とするものであった。・・・修験道は、古代・中世・近世を通じて、広汎な庶民の支持をうけてきたにかかわらず、独立した一宗派を形成しなかった。そのため一方では、あらゆる宗派の中に浸透して、日本仏教の骨格を構成したということができる。すなわち、どのような仏教各宗も、その庶民信仰の面では、修験道となんらかのかかわりをもたないものはない。
・・・修験道は元来、実践的な宗教であった。・・そしてその実践の場を山岳霊場にえらんだことから、修験道は山岳宗教と称されるようになった。・・山岳信仰は自然崇拝ではなくて、霊魂崇拝なのである。・・祖霊と一体化して超人間的能力を身につけることが、山岳修行の目的となり、・・シャ-マニズムの憑依現象として、祖霊あるいは大日如来、その教令輪身である不動明王が山伏の身にのりうつって、予言、託宣などの超人間的はたらきをする。
・・・修験道の実修の目的は呪術をおこなう呪験力を身につけることで、山伏は、雨乞、あるいは豊作をもたらすような超人間的能力をもたなければならない。・・このような呪験力で庶民の願望を実現させるための祈祷をすることは、修験山伏のもっとも大事な職能であった。
(一部の漢字は同義異字を使用、振り仮名や強調記号は省略させていただきました)
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